SPEECH COMPARISON

経済安全保障の対象をどこまで広げるか

市場・国会統制・特許・研究の境界を比較

五氏は経済的なリスクへの備えを議論しながら、対象指定の曖昧さ、政省令への委任、特許非公開、補償、研究の軍事利用へ異なる角度から限界線を求めました。

比較する問い

安全保障上の介入を必要な範囲に限定し、事業と研究の自由をどう守るか。

VOICES

発言を並べる

各発言の要約と原文抜粋を、同じ会議録から確認します。

01

青柳 仁士

日本維新の会

ただ、最後の最後に、本当に自らのサプライチェーンを明らかにしたくない事業者というのが必ずいると思います。それに対して、これも総理の本会議での三月十七日の答弁の中に、事業者や関係団体等に本調査の重要性や趣旨、目的を丁寧に説明することで調査の実効性を確保するという答弁がありましたが、私はこれで確保はできないと思います。経済安全保障上懸念される活動を意図的に行っている事業者が、今回の法案の定めている努力義務のみで政府に対する情報提供を自発的に行うとは……

経済安全保障の定義と戦略が曖昧だと指摘し、市場への介入を限定しながら対象分野では実効性と情報分析体制を確保するよう求めた。

02

本庄 知史

立憲民主党・無所属

これらの問題点を踏まえまして、立憲民主党提出の修正案では、法案全体に通じる基本理念を定めて、そして基本方針はこの理念にのっとって策定をするものというふうにしています。また、政府の運用を国会がコントロールするために、重要な政令、省令を制定、変更する場合に外部専門家の意見を聴取する、このことを法律に明記をする、あるいは、事業者への影響が大きい措置に当たっての要件を厳格化しています。さらには、政府の運用を事後的に検証するために、政府による国会への報告を義務づけています。

政府の権限が政省令で広がる懸念を示し、事業者の自主性、国会への報告、特許出願者の手続と補償を修正案で補うと説明した。

03

岡田 克也

立憲民主党・無所属

そして、国際分業によってより効率的な生産というものも、目指してきた。RCEPとかTPP11というのもそういう考え方に基づいて制定されてきたというふうに思います。この自由で公正な経済活動あるいは自由貿易というものと経済安全保障というものの関係を、分かりやすく、どう考えておられるか御説明いただきたいと思います。

自由貿易と安全保障上の規制の関係を問い、軍民両用技術まで特許非公開を広げれば発明意欲を損なうとして慎重な範囲設定を求めた。

04

塩川 鉄也

日本共産党

二つ目に、政府による企業への介入を強化する問題です。基幹インフラの事業者に対し、設備導入などの際、納品業者、委託業者などを事前に届出させ、政府が審査し、勧告、命令まで行うとしています。また、特定重要物資の供給事業者に対しても、取引先などを記載した安定供給のための計画を提出させます。

補助金と規制で政府・大企業の関係が強まる問題や、基幹インフラの取引先監視、研究の軍事利用が広がる懸念を指摘した。

05

山岸 一生

立憲民主党・無所属

3 安全保障に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するに当たっては、事業者及び国民に対し十分な説明を行い、その理解を得るようにすること。4 本法第九十条の規定に基づき、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないようにすること。二 特定重要物資を指定する政令及び安定供給確保支援法人の指定に関する主務省令並びに特定社会基盤事業者の指定基準を定める主務省令は、関係事業者、関係事業者の団体その他の関係者の意見を考慮して制定するとともに、特定技術分野を定める政令は、安全保障の確保に関する経済施策、産業技術その他特許出願の非公開に関し知見を有する者の意見を考慮して制定すること。

重要物資やインフラを政府が指定する新制度で恣意的な運用を防ぎ、特許非公開の手続と損失補償を明確にする修正・附帯決議を説明した。

COMPARISON AXES

3つの比較軸

  1. 01

    政府権限の限定

    戦略と対象分野を明確にする提案、国会報告と手続を修正で補う提案、制度全体の企業監視を懸念する立場があります。

  2. 02

    特許と研究

    非公開の範囲と補償を慎重にする立場から、軍事利用が学術研究へ広がること自体を問題にする立場まで幅があります。

  3. 03

    市場との関係

    自由貿易を基本に介入を限定する考えと、重要物資・基幹インフラで政府の実効性を強める考えの均衡が焦点です。

COMMON GROUND

共通している点

重要物資や基幹インフラのリスクへ備える必要性と、制度を恣意的に運用しないための明確な手続が必要な点は広く共有されています。